ポートレートライティング4種類|レンブラントとバタフライの違いと選び方

レンブラントは斜め45度・高さ45度から頬に三角形の光を作る型で、バタフライは正面上から鼻下に蝶形の影を作る型です。

2つは印象も異なります。レンブラントは陰影が多く、重厚で立体的な顔になります。一方で、バタフライは両頬の外側に影が落ちて輪郭が締まるため、小顔に見えます。ここにループとスプリットを加えた4種類は、どれもキーライトの角度と高さだけで決まります。

とはいえ、名前と図を覚えても、目の前のモデルにどれを選べばよいのか迷う人は多いでしょう。この記事では、4種類の比較表と配置手順に加え、顔の形と撮影目的から1つに絞る選択フローを紹介します。

この記事でわかること
  • 4種類の違いは、キーライトの水平角度0〜90度と高さだけで決まる

  • 頬に閉じた三角形ならレンブラント、鼻の真下に蝶形ならバタフライ

  • 迷ったときの初期値は、顔型を選ばないループ

  • 影の起こし具合は、キー:フィル=2:1〜4:1が目安

  • キーライト1灯と白レフ板で4種類とも再現できる

【4種類比較表】レンブラント・バタフライ・ループ・スプリットの違いが一目でわかる

4種類の違いは、キーライトを被写体から見て何度の方向に置くかと、どれだけ高く置くかの2点です。型を決めるのは光の主役であるキーライトの位置だけで、フィルやバックライトは判定に関係しません。

次の表は、4種類をライトの位置・影の形・印象・向いている顔と用途・扱いやすさで比べたものです。行は、ライトを正面から真横へ回していく順に並べました。角度や高さはポートレートライティングの解説で一般的に使われている目安で、顔の向きや光源の大きさによって前後します。

型

ライトの位置

影の形

印象

用途

扱いやすさ

バタフライ

正面、顔より30〜45度上

鼻の真下に蝶形

華やかで輪郭が締まる

ビューティ撮影

△

ループ

斜め30〜45度、やや低め

鼻の横に小さな輪

明るくカジュアル

顔型を選ばない、宣材写真や家族写真

◎

レンブラント

斜め45度、目線より45度上

頬に閉じた三角形

重厚で立体的

プロフィール写真

○

スプリット

真横90度、顔と同じ高さ前後

鼻筋で左右に二分

ドラマチック

作品撮り

○

扱いやすさは、位置の決めやすさと、顔型を選ばない度合いで評価しました。バタフライを△にしたのは、あご下の補正が欠かせず、向かない顔立ちもあるためです。

撮った写真がどの型になっているかは、影を次の順に見ると判定できます。

  1. 鼻の影が左右対称かを見ます。対称ならバタフライです。

  2. 鼻の影と頬の影がつながっているかを見ます。離れていればループです。

  3. つながった影の中に三角形の光が閉じて残っていればレンブラント、三角形が消えていればスプリットです。

バタフライ:鼻下に左右対称の蝶形の影ができる
バタフライ:鼻下に左右対称の蝶形の影ができる
ループ:鼻の横にできた影が頬の影と離れている
ループ:鼻の横にできた影が頬の影と離れている
レンブラント:影側の頬に三角形の光が閉じて残る
レンブラント:影側の頬に三角形の光が閉じて残る
スプリット:鼻筋を境に顔が明暗二分される
スプリット:鼻筋を境に顔が明暗二分される
ホリくん

名前を4つ暗記するより、ライトを正面から真横へ回すと影がどう変わるかで覚えるほうが早いよ。

レンブラントライティングの配置手順4ステップ|影を重くしすぎない補正方法も解説

鼻筋に対して斜め45度、目線より45度上にキーライトを置き、影側の頬に三角形が出るまで微調整します。暗く見えるときは、カメラを挟んだ反対側にレフ板を足して影を起こしましょう。

キーライトを斜め45度に置く

被写体の鼻筋の向きを0度として、そこから45度振った方向にライトを立てます。60〜90cmのソフトボックスなら、被写体から1〜1.5mが距離の目安です。

目線より45度上まで上げる

ライトの中心が、目線から45度見下ろす位置に来るようにスタンドを伸ばします。高すぎると眼窩が沈み、目元が暗くなります。

三角形を5〜10cm刻みで整える

影側の頬に三角形のハイライトが出るまで、ライトを左右と上下に5〜10cmずつ動かします。三角形の幅は目の幅程度まで、縦は鼻の長さを超えない大きさが目安です。

反対側にレフ板を足す

カメラを挟んだ反対側に白レフ板かフィルライトを置き、影側を起こします。

調整中に三角形が開いて頬の影と鼻の影が離れたら、ループに近づいています。逆に三角形が消えて顔の半分が影になったら、スプリット寄りです。

レンブラントの弱点は、眼窩や鼻の影が強く出ると、顔全体が暗く重い印象になることです。キーライト1灯だけだと影側の頬はほぼ黒く沈みますが、白レフ板を足すと肌の質感が戻り、表情が読み取れるようになります。どこまで起こすかは、キーとフィルの光量比で決めます。

次の表は、光量比ごとの露出差と印象の目安です。露出差は、光量が2倍になるごとに露出が1段変わるという関係から算出しました。

光量比 キー:フィル

露出差の目安

印象

2:1

約1段

影がやわらかく、明るく親しみやすい

3:1

約1.5段

立体感と明るさのバランスが取れる

4:1

約2段

陰影が強く、重厚で引き締まる

ただし、フィルがキーより強くなると陰影が消え、のっぺりした顔になります。フィルはあくまで補助の光と考えておきましょう。

モデルが斜めを向いているときは、影をどちら側に置くかで2つに分かれます。カメラ側の頬を影にする「ショートレンブラント」は、顔が細く引き締まって見えます。カメラ側の頬を明るくする「ブロードレンブラント」は、顔が広く明るく見えます。たとえばビジネスパーソンのプロフィール撮影なら、ショートレンブラントで光量比3:1前後にまとめると、落ち着いた立体感が出るでしょう。

レンブラントは、彫りが比較的浅い顔立ちでも陰影が強くなりすぎにくい型です。玄光社のWebメディア「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載された玉内公一さんの連載「玉ちゃんのライティング話 第13回」では、次のように述べられています。

日本人の顔はレンブラントライティングでも極端な陰影がつかないので、ちょうどいいのでしょう。

玉内公一「玉ちゃんのライティング話 第13回」Shuffle by COMMERCIAL PHOTO(玄光社)

バタフライライティングの配置手順4ステップ|小顔に見せる調整のコツ

キーライトをカメラの真上に置き、顔より30〜45度上から見下ろす角度にします。鼻下の影が唇にかからない長さに収まれば適正です。

  1. 被写体の正面、カメラの真上にキーライトを置きます。

  2. 顔より30〜45度上から見下ろす角度まで、ライトを上げます。

  3. 鼻下の影の長さを見ながら、高さを微調整します。

  4. 胸元に白レフ板を水平からやや上向きに置き、あご下と首の影を起こします。

高さは鼻下の影で判断します。影が唇にかかるなら光源が高すぎ、影が消えるなら低すぎです。

光源が高すぎて鼻下の影が唇に重なった顔
高すぎる例:鼻下の影が唇にかかってしまう
適正な高さで鼻下に短い影が残る顔
適正な高さ:影と唇の間に明るい肌が残る
光源が低すぎて影が消え平らに見える顔
低すぎる例:鼻下の影がほぼ消えてしまう

小顔に見えるのは、上からの光で両頬の外側に影が落ち、輪郭が締まるためです。ハリウッド黄金期に、スタジオの天井から吊したライトで俳優を撮ったことが始まりとされ、卵形の顔の輪郭がきれいに出やすい型として知られてきました。

胸元のレフ板を顔に近づけると、キーライトとレフ板で上下から挟む構成になります。これはクラムシェルと呼ばれる、バタフライを発展させた形です。また、キーライトを面光源にすると影がやわらぎ、瞳の上側にキャッチライトが入って明るい目元になります。

一方で、次のような顔立ちには向かない傾向があります。

  • 頬骨やあごがしっかりした骨格の人は、上からの光が下へ滑らかに回らず、頬骨の下に不自然な影が出やすくなります。

  • 眼窩が深い人は、目元が暗く沈みやすくなります。

  • 耳が髪で隠れていない人は、耳の上にハイライトが入り、目立ちやすくなります。

ループとスプリットはレンブラントから光源を動かすだけ|2つの型の作り方の違い

どちらもレンブラントの位置から動かして作ります。ループはカメラ側へ寄せて少し下げ、スプリットは真横90度まで回して顔の高さまで下げます。

ループとスプリットの光源位置をレンブラントから動かして作る配置図
ループとスプリットはレンブラントの位置から光を動かして作る

ループは、頬の影と鼻の影が離れ、鼻の横に小さな輪状の影ができれば成立です。目元にも光が入るため、表情が明るく見えます。家族写真では1灯で複数の顔を照らすため、向きが多少ずれても目元が暗くなりにくい点が助かるでしょう。

スプリットは、鼻筋を境に顔が明るい側と暗い側に分かれれば成立です。迫力が出て顔を細く見せる効果もあるため、アーティスト写真や作品撮りでよく使われます。真横よりわずかに角度を浅くし、キーライトが両目にぎりぎり届く位置にすると、目の表情を残せます。

用語解説

ネガティブフィルとは、影側に黒レフや黒いボードを置いて、回り込む光を吸い取る方法です。白レフで影を明るくするフィルの逆で、スプリットの影側を締めると、さらに強い印象になります。

顔の形・骨格・撮影目的で選ぶ、失敗しないライティング選択フロー4ステップ

撮影目的・顔の形・骨格と彫り・見せたい印象の順に絞ると、1つの型に行き着きます。どれにも決めきれないときは、ループから始めましょう。

  1. 撮影目的を決めます。小顔に見せたいビューティ撮影ならバタフライ、プロフィールや宣材ならループかレンブラント、迫力を出したい作品撮りならスプリットを候補にします。

  2. 顔の形を下の早見表に当てはめます。候補が「避けたい型」に入っていたら、表の「選びたい型」へ切り替えます。

  3. 骨格と彫りの深さを見ます。頬骨やあごがしっかりしているならバタフライを外します。彫りが深いならレンブラントからループへ切り替え、彫りが浅いならレンブラントで立体感を足します。

  4. 見せたい印象で光量比を決めます。明るく親しみやすくしたいなら2:1、重厚に引き締めたいなら4:1へ寄せます。

手順2で使う、顔の形ごとの早見表です。決まりではなく、見せ方の傾向として参考にしてください。

顔の形

選びたい型

避けたい型

理由

卵形

バタフライ

特になし

両頬の影で輪郭がきれいに締まる

丸顔・ふっくらした顔

ショートレンブラントかスプリット

ブロードレンブラント

カメラ側の頬を影にすると輪郭がすっきり見える

面長

ループかブロードレンブラント

バタフライ

斜めからの光で横幅が出て、縦の印象がやわらぐ

エラや頬骨が張った顔

ショートレンブラント

バタフライ

張った部分を影に収められる

よくある誤解は、1つの型を覚えればすべてに対応できるという考え方です。実際には、同じモデルでも目的によって型を変えます。たとえば事務所に出す宣材写真は目元まで明るいループで撮り、作品撮りでは同じ顔をスプリットで撮り分けるといった使い方です。

4種類を1灯と白レフ板だけで再現する、最小限のセッティング3点

4種類は、キーライト1灯と白レフ板があれば再現できます。型を決めるのはキーライトの位置だけなので、灯数を増やしても型そのものは変わりません。2灯目はフィルかバックライトに使い、3灯目を足すと三点照明になります。

最小構成で用意するものは、次の3点です。

機材

役割

キーライト

型を決める主光。光の当たり方を見ながら動かせるLED定常光が扱いやすい

白レフ板

影側を起こす。白い発泡ボードでも代用できる

ライトスタンド

ライトを狙った角度と高さで固定する

ストロボの選び方や、ソフトボックスとアンブレラの違いなど機材の詳細は、別の記事で解説しています。

人物撮影のライティング基本|スタジオで一灯から三灯まで組む手順白ホリで1灯ポートレートを撮るための光の性質を徹底解説。硬光・軟光の原理、白背景を飛ばす露出バランス、表現意図から逆算するライト配置の思考フローで撮影当日に迷わ

硬い光で型を覚え、やわらかい光で仕上げる練習ステップ3段階

影の輪郭がくっきり出る硬い光で型を覚え、同じ位置のまま光をやわらかくしていくと、4種類の違いを短時間で体で覚えられます。流れは次の3段階です。

  1. ディフューザーを付けずに、バタフライからスプリットまで順に作り、影の形を比較表と照らし合わせます。

  2. ライトの位置は変えずにディフューザーを付け、影がぼけても型の性格が残ることを確かめます。

  3. 白レフ板を足し、光量比を4:1から2:1へ変えながら撮り比べます。

記録の付け方やバックライトを使った仕上げまで含めた詳しい練習方法は、別の記事で扱っています。

撮影前に確認したい5つのチェックリスト|型を1つ作り影を確かめてから始める

選択フローで決めた型を1つ作り、影の形が狙いどおりかを確かめてから撮り始めましょう。撮影の前には、次の5項目を確認しておくと安心です。

  • 撮影目的と、選択フローで決めた型

  • キーライトの水平角度と高さ

  • 影の形が狙った型になっているか

  • フィルの位置と光量比

  • 背景への光漏れと瞳のキャッチライト

プロの現場では、型の名前を口にする機会はあまりありません。それでも、キーライトの位置を決める基礎として常に使われています。ブログメディア「ライガジェ!」の記事「ポートレートのライティングをプロ照明マンが徹底解説」で、テレビ局で照明を担当するゆーふぃるさんは次のように書いています。

レンブラント、ループ、スプリット、バタフライなどの名称も、実際の現場ではあまり言ったりはしません。

出典:ゆーふぃる「ポートレートのライティングをプロ照明マンが徹底解説」ライガジェ!

上達の近道は名前を覚えることではなく、光源を動かして影の変化を自分の目で確かめることかもしれません。

よくある質問

レンブラントライティングとバタフライライティングでは、どのような印象の違いが生まれますか?

レンブラントは頬に三角形の陰影ができ、重厚で立体的な印象になります。一方で、バタフライは鼻の下に蝶形の影ができ、輪郭が締まって華やかな印象になります。撮影の目的や被写体の顔立ちに合わせて選ぶとよいでしょう。

ライトの角度や高さはどのように決めればよいですか?

レンブラントは鼻筋から斜め45度、目線より45度上にキーライトを置くのが目安です。バタフライは被写体の正面、顔より30〜45度上から光を当てると、鼻の真下に蝶形の影ができます。

ループライティングとスプリットライティングは、どのような場面で使い分けられますか?

ループは斜め30〜45度のやや低い位置から光を当てる型で、顔型を選ばず宣材写真や家族写真に向いています。一方で、スプリットは真横からの光で顔を左右に分ける型のため、輪郭を強調したい作品撮りに適しています。

ポートレートライティングに必要な機材は何ですか?

キーライト1灯と白レフ板があれば、4種類の型はひとつずつ再現できます。さらに影をやわらかくしたい場合は、ソフトボックスやディフューザーを使うと光の輪郭がなじみやすくなるでしょう。

どの型を選べばよいか迷ったときは、何を基準にすればよいですか?

顔型を選ばないループを初期値として試すと失敗しにくい傾向にあります。そのうえで、頬の彫りを強調したい場合はレンブラント、輪郭を締めたい場合はバタフライやスプリットを検討するとよいでしょう。

キーライトとフィルライトの光量バランスは、どのくらいが目安ですか?

キーとフィルの比率は2:1から4:1程度が目安です。比率を大きくするほど陰影が強く出るため、ドラマチックな印象にしたいときは比率を高め、やわらかい印象にしたいときは比率を抑えるとよいでしょう。

顔の形によって、向いているライティングの型は異なりますか?

彫りが浅い顔にはレンブラントで陰影を足すと立体感が出やすく、卵形の顔にはバタフライで輪郭を締める方法が向いています。とはいえ、光源の大きさや被写体との距離によっても見え方は変わるため、実際に試しながら微調整したほうがよいでしょう。

← 白ホリでの撮り方の記事一覧へ

あわせて読みたい

RELATED