白ホリの影を消す撮影方法|背景ライトと距離で真っ白に仕上げるコツ

白ホリの影は、背景側にライトをもう1灯当てて飛ばすか、被写体を背景から離せば消せます。

影の濃さを決めるのは光量ではなく、光の向き・光源の大きさ・背景との距離です。そのため、メインライトを強くしても影は消えません。この記事では、影ができる仕組み・灯数ごとの消し方・商品撮影での床の影の対処・撮影で消しきれなかった影のレタッチを紹介します。

この記事でわかること
  • 影は光量を上げても消えず、光の向き・光源の大きさ・背景との距離で決まる

  • 背景用ライトを足し、壁に直接当てる

  • 1灯なら被写体を壁から2〜3m離し、カメラの横にやや高い位置から当てる

  • 商品撮影は台やアクリル板で浮かせ、床と背景を別に照らすと接地面の影も飛ぶ

  • 同じ構図を何十枚も撮るなら、レタッチより照明で消したほうが早い

白ホリに影ができる原因は「光の向き・大きさ・背景との距離」の3つ

影は「光の向き」「光源の大きさ」「被写体と背景の距離」の3つで決まります。白い背景紙を使っても、光量を上げても、この3つが変わらなければ影は残ります。

光の向き:影は必ず光源の反対側にできます。カメラ側から光を当てれば、被写体の後ろの壁や床に影が落ちます。

光源の大きさ:ストロボの直射のように光源が小さいほど、輪郭のくっきりした濃い影になります。ソフトボックスやアンブレラで光源を大きくすると拡散光になり、影は薄くぼやけます。

背景との距離:被写体と背景が近いほど影は濃くはっきり写り、十分に離れると目立たなくなる傾向があります。具体的な距離の目安は、スタジオの広さや照明によって異なります。

壁に近いと、影の輪郭がくっきり濃く残る
壁に近いと、影の輪郭がくっきり濃く残る
壁から離れると、影は薄く広がり背景になじむ
壁から離れると、影は薄く広がり背景になじむ

よくある誤解が「メインライトを強くすれば影が飛ぶ」という考え方です。影の部分にはメインの光が直接届かず、届くのは周囲からの反射光だけです。メインを強くすると被写体も影も同じ割合で明るくなるため、両者の明るさの差は縮まりません。

このように、対処法は影を光で飛ばす・影が写らない位置に逃がす・影を薄くするの3つに分かれます。以降で紹介する方法は、いずれも3要素のどれかを変えるものです。

背景用ライトを1灯足すだけで影を消す最も確実な方法

影を確実に消したいなら、被写体の後ろに背景用のライトを1灯足し、壁や床へ直接発光させましょう。影が落ちた部分を背景用ライトの光で上書きして、真っ白にする方法です。

配置と光量の目安はフル発光の1/2〜1/8

背景用ライトは、被写体の真後ろか、斜め後方の画面に入らない位置に置きます。向けるのは被写体ではなく、影が落ちている壁や床です。人物撮影であれば、被写体の体でストロボ本体を隠すと画面に写り込みません。

光量はメインより強めにします。1/8から試し、背景が真っ白に写るまで1/4、1/2と上げていくと調整しやすいでしょう。

メインライトと背景用ライトの配置を示す俯瞰図

1灯・2灯・3灯で変わる影の消え方を比較

灯数ごとに、影をどこまで消せるかを次の表に整理しました。

灯数

構成の例

影の消え方

1灯

メインのみ

背景に影が残りやすく、距離と位置で逃がす工夫が必要

2灯

メインと背景用

背景の影はほぼ消せる

3灯以上

トップ・サイド・キャッチ用のフロントなど

白い衣装や白い商品も背景から浮かせやすい

人物撮影では、最低3灯を勧めるプロのカメラマンも少なくారありません。正面上のフィルインと背面のサブライトで影を互いに打ち消す方法もありますが、配置が難しく、ストロボの台数も多く必要になります。

背景用ライトで白飛びを防ぐ2つのコツ

背景用ライトの弱点は白飛びです。背景から回り込んだ光で、白い服・肌・白い商品のふちが飛びやすくなります。また、ストロボとスタンドを買い足す費用もかかるでしょう。

白飛びを抑えるには、背景用ライトが被写体に直接当たらない角度にします。さらに被写体と背景の距離を少し取ると、被写体に回り込む光が減ります。

ライトが1灯しかないときに影を消す3つのテクニック

ライトが1灯しかないときは、被写体を壁から離し、カメラの少し横の高い位置から打ち下ろします。追加の出費なしで、影を画面の外や被写体の真下へ逃がせる方法です。

被写体を壁から2〜3m離す

被写体を壁から離すほど影は薄く広がり、カメラの画角からも外れやすくなります。適した距離は照明の数や配置によって異なりますが、2〜3mがひとつの目安です。スタジオの奥行きが足りないときは、離せるところまで離すだけでも影の濃さは変わります。

ライトをフロントトップに置いて影を足元に逃がす

カメラの少し横にスタンドを高く立て、ストロボを斜め上から打ち下ろします。影が被写体の真下に落ちるため、後ろの壁に写りにくくなります。ただし、ライトをカメラから横へ大きく離すと背景に斜めの影が伸びるので、注意しましょう。

フロントトップライトの配置と足元の影を示す横からの図
壁から離し、高い位置から打ち下ろすと影は足元に

光源を大きくして影の輪郭をぼかす

ストロボにソフトボックスかアンブレラを付けると、光源が大きくなります。影の輪郭がぼけて薄くなり、背景の白になじみます。なお、天井の蛍光灯だけに頼ると影が出やすく、色温度の違いによる色かぶりやフリッカーも起こりやすいため、1灯でもスタンドライトかストロボを使うと安心です。

白ホリ1灯ポートレート|光の性質で失敗しない撮影術白ホリで1灯ポートレートを撮るための光の性質を徹底解説。硬光・軟光の原理、白背景を飛ばす露出バランス、表現意図から逆算するライト配置の思考フローで撮影当日に迷わ

とはいえ、1灯には限界があります。全身撮影では足元が暗くになりやすいです。全身撮影で影を完全に消したいなら、背景用ライトの追加かレタッチとの併用を前提にするとよいでしょう。

白ホリ1灯ライティング基本|当日迷わないポートレート撮影手順白ホリでのポートレート1灯ライティングの基本を解説。ライト配置の角度・距離、背景を白く飛ばす露出調整、レフ板の使い方、当日の手順までスタジオで迷わない実践ガイド

商品撮影で真下に落ちる影を消す4つの方法

商品の真下に落ちる影は、真上から大きな光を当てて小さくまとめるか、商品を浮かせて床を別に照らせば消せます。

トップライトをディフューザー越しに当てて影を小さくまとめる

真上からディフューザー越しに光を当てると、影は商品の真下に小さくまとまります。ディフューザーが大きいほど影の輪郭はぼけ、接地面にわずかな線が残る程度になります。

台やアクリル板で商品を浮かせて影を消す

アクセサリーや化粧品のような小物は、透明なアクリル板や台に載せて背景から浮かせます。そのうえで背景や床を下や後ろから別のライトで照らすと、影が光で飛びます。背景用ライトと同じ考え方を、小物に当てはめた方法です。

商品を浮かせて背景と底面を別々に照らす配置図
商品を浮かせ、背景と足元を別のライトで照らす

左右から同じ強さで照らして影を打ち消す

商品の左右に同じ強さのライトを置くと、片方がつくる影をもう片方の光が埋めます。接地面の影が薄くなり、左右どちらかに伸びる影も出にくくなるでしょう。

自宅ならライトボックスとLED2灯で手軽に撮る

自宅で手軽に済ませるなら、撮影用ライトボックスとLED定常光2灯の組み合わせが省スペースです。ストロボより低予算でそろえやすく、光の当たり方を目で見ながら調整できます。

ホリくん

接地面の影をうっすら残すと、商品が宙に浮いて見えず自然です。完全に消すのは、モールの白背景規定で影が認められないときだけで大丈夫です。

撮影で消しきれない影をレタッチで消す3つのツール

撮影で残った影は、影の濃さと場所に合わせてツールを選べば短時間で消せます。ただし、同じ構図を何十枚も撮る商品撮影では、照明で消したほうが合計の作業時間は短くなります。

残った影の種類ごとに、使うツールを次の表にまとめました。

残った影

使うツール

処理の内容

背景全体の薄い影

Photoshopのレベル補正やLightroomのブラシ

背景部分だけ白を持ち上げる

被写体のまわりの影

Photoshopの「被写体を選択」

被写体を切り抜き、背景を白で塗りつぶす

床の小さな影

スポット修復ブラシやコンテンツに応じた塗りつぶし

影の部分だけ周囲の白に置き換える

撮影とレタッチ、どちらが早いか時間で比較

作業時間の試算

仮に1枚の影消しに3分かかるとすると、商品50枚では150分です。照明の配置を詰めるのに30分かかっても、撮影で影を消せれば差し引き120分を削れます。一方で、撮るのが数枚だけなら、照明を組み直すよりレタッチで済ませたほうが早く終わります。

濃くて輪郭のはっきりした影を毎回レタッチしているなら、照明配置を見直すサインかもしれません。光の向き・光源の大きさ・背景との距離のうち、どれを変えれば影が薄くなるかを確かめてから撮り直しましょう。

まとめ

白ホリの影は光量では消えず、光の向き・光源の大きさ・背景との距離で決まります。背景用ライトを1灯足すか、距離と光源の位置を調整して影を消し、残った影だけをレタッチで処理しましょう。

次の撮影では、被写体を今より1m背景から離してテスト撮影し、影がどう変わるかを確かめてみてください。

← 白ホリでの撮り方の記事一覧へ

あわせて読みたい

RELATED